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韓国の新たな社会統合政策についての研究
Research for New Social Unification Policy in Korea

Blind Spot of Polecy

死角地帯③子供:移住労働希望センタ―
どの子供も私たちの大切な子供だ

移住労働希望センタ―局長 アン・ウンジュ(Ahn EunJoo)氏

アン・ウンジュ
写真 : キムジョンテック(김종택)氏

2009年のセンター発足以降、韓国に住む移住労組、移住労働者の送出国の子供たちを支えて来た。

移住労働者が故国に戻った時に、故国で職につけなければ、また出稼ぎに出なければならない。家族が離れ離れになる。貧困が海外への出稼ぎを誘発する。次世代に育つ人々に必要なのは教育だ。そうして始めたのが、移住労働者の送り出し国への小学校設立事業や奨学金事業だ。アン・ウンジュ(Ahn EunJoo)局長に話を聞いた。

Q:詳しい事業内容を教えてください。

2009年に設立した。バングラ、ネパールに希望学校を建てるのを中心に、国内の移住労働者のための健康診断、実態の調査、それから故国に移住した労働者とともに、海外での活動家を育成、支援し、その国々にあう支援事業を行っている。

2012年バングラディッシュ、2014年にネパール初等学校を建てた。土地は地域住民からの寄付によるものだ。職員室1つ、教室5つ、トイレ9つある。三年間は運営費用を支援していたが、現在は自主運営している。昨年5月の時点で1年から8年まで205名の子供たちが学校で学習している。教育は次世代の力になる。バングラディシュではもう一つ。バングラの貧しい家庭では親世代も教育を受けておらず家庭で適切な学習指導ができない。そうした家庭の子供たちを対象に活動家が開催している放課後教室への支援も行っている。

ネパールの希望学校では幼稚園、1年生から5年生まで104名の子供たちが元気に学習している。ネパールの希望学校は今年までの三年間は支援を行うが、来年度以降は自主運営になる。ネパールでは、雇用許可制でこれから韓国に来る外国人のために韓国での活動経験者が韓国語教室や労働法講義を行っているのを支援している。これはこの後、韓国政府が主管する無償教育を受けるための予備的な準備だ。

次の希望学校の候補地はフィリピンだ。

Q:海外での活動が中心なのですか。

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国内では移住労働者支援、移住労組の組合員と協力した巡回健康診断、就学前の未登録児童の実態調査や支援団体の調査を行っている。

80年代後半の研修生制度ができる前の外国人労働者は不法在留者であり、取り締まりの対象だった。転機は2004年の雇用許可制の施行だが、この時にそれ以前に長期間不法在留していた移住労働者には在留資格を付与しなかった。それで起きたのが明洞聖堂のろう城だ。希望センターは民主労総の傘下にある。移住労組ともかつては連帯していたが現在は支援という形での参与だ。

また、巡回健康診断は2014年下半期には三度行いベトナム、モンゴル、ネパール、バングラ、タイの移住労働者89名を検診した。梨花医療院の組合員と作業環境医学科の専門医すべてボランティアだ。希望センター会員の子供たちも一緒に検診を受けた。検診内容と結果を医師から直接聞くこと、また、移住労働者と直接ふれあうことで、先入観の払拭や連帯の可能性を見出すことができる。

Q:もう一つは未登録児童の支援ですね。
シンポジウム「どの子も私たちの子どもだ」は私も参加しました。

昨年は国内の未登録児童の実態調査を行い、今年はこれらの児童に美術治療と女性移住労働者のための情緒的な支援プログラムを実施した。シンポジウムでは美術治療の専門家の事例研究を紹介した。

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写真撮影はキムジョンテック(김종택)

突然の移動や帰国、親との別離など説明のないままに両親の仕事の都合で振り回される子供たちの心理的な不安感を専門家が見定めるのは重要だ。急な移動などは親が子供への説明を疎かにしたり、場当たり的にごまかしたりすることが多い。情緒的な安定や定着地での適応などを進めていくためには、周辺の人々の協力も必要だ。子供の心は弾力がありきちっとしたケアをすれば回復速度も速い。ただ、移住労働者はお金を稼ぐために自分のことで手いっぱいになり虐待や放任に繋がることもある。両親もまた仕事や子供のことでストレスが多い。

こうした人々が支援をうけられるようなシステムを作るのが最重要課題だ。

移住労働者の情緒支援面ではネパールの女性を対象にパク・ウンミ心理相談センター院長からの報告があった。身体を使った活動や参与系ワークショップでは人の5つの要求(愛と所属・成就・楽しさ・自由・生存)を理解し、生活に適応してもらおうというものだ。今年の三月から開始し、二時間づつ6週間行った。わずかな時間であるが、支援や外部からの働きかけによって初めて経験することもあるはずだ。情緒支援プログラムの実施前後で大部分の参加者が感情表現の仕方や対話の重要性、互いを認め合うことなどを皮膚で感じており、実施側としても手ごたえを覚えている。改善すべき点もある。経験を積み重ねていくことが大事だ。

Q:そういえば、帰国準備技術学校の設立を考えていらしたと聞きましたが?

この事業は本センターが作られた当初から準備していた事業だった。この間、事前調査作業も行ってきたが、現在の韓国の法制度上、移住労働者が帰国するために合法に「技術学校」に通うことが不可能に近いことがわかった。それは韓国に来ている移住労働者の在留資格では労働しか認められていないからだだ。「技術学校」で専門的な技術を学ぶためには現在の仕事を辞めて、学生のビザを取らなくてはならない。そのためこの事業を中断せざるを得なかった。

Q:今後の展望などを聞かせてください。

先にも言ったように、近々フィリピンに希望学校を設立する。これが一番大きな事業だ。

また、現在の国内の移住労働者にとって最大の問題は家族と子供だ。雇用許可制は制度としては大変に整った制度だ。ただ、合法の移住労働者同志の夫婦から子供が生まれても多くの場合子供は未登録になるなど制度の死角がある。また、途中入国した子供も在留資格の申請ができずに未登録状態で児童福祉の対象とはならない。これは故国に残しても同じ国の人とはいえ、子供が利用される危険があるから呼び寄せるのだ。逆に、韓国で子供が二人生まれれば母と子供は帰国させ、父親だけが残るというケースが大部分だ。韓国で共に住めば子供が危険にさらされ、父親が残れば家族が長期にわたり離れて暮らさなくてはならない。

韓国には統一の問題も残っている。統一すれば韓国の規模は格段に大きくなるという利点もあるが、往来が自由になれば北朝鮮からの労働者の問題を考慮しなければならないだろう。そうなれば新たな制度整備が必要だが、雇用許可制を調えれば大きな制度改正の必要はないだろう。こうした政府への働きかけは重要だ。

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